ヒューゴの不思議な発明 Hugo (2011年 アメリカ) ※公式サイトはこちら
監督 マーティン・スコセッシ
出演 ベン・キングズレー サシャ・バロン・コーエン エイサ・バターフィールド クロエ・グレース・モレッツ
レイ・ウィンストン エミリー・モーティマー ヘレン・マックロリー クリストファー・リー ジュード・ロウ
1930年代のパリ。 駅の時計台にヒューゴ(エイサ・バターフィールド)という名の少年が隠れ住んでいた。 たった一人の肉親だった父(ジュード・ロウ)を火事で亡くし、時計修理工の叔父(レイ・ウィンストン)に駅に連れてこられたヒューゴだが、その叔父も帰ってこなくなり、駅の大時計のネジを巻きながら一人で暮らしていた。
ある日、ヒューゴは駅構内の玩具店からネズミの玩具を盗もうとして、店主のジョルジュ(ベン・キングズレー)に見つかってしまう。 ジョルジュはヒューゴに、ポケットの中身を全部出して見せなければ駅の公安官(サシャ・バロン・コーエン)に引き渡すと迫る。 ドライバーやネジなどと共にヒューゴのポケットから出てきたノートの中身を見たジョルジュは顔色を変え、ノートを取り上げてしまう。 そのノートは、時計職人だったヒューゴの父が博物館の所蔵品である機械人形を修理していた時に、その修理方法を書き留めたものだった。
どうしてもノートを取り返したいと粘るヒューゴに、ジョルジュは 「 盗んだ分だけ働けば返してやる 」 と言い、ヒューゴは店に通うことになる。 ヒューゴは徐々に、ジョルジュの養女イザベル(クロエ・グレース・モレッツ)に心を開いていく。
機械人形を動かすのに必要な 「 ハート形の鍵穴に合う鍵 」 をイザベルが持っていることに気付いたヒューゴは、イザベルを隠し部屋に招き、鍵を使って遂に機械人形を動かす。 二人の目の前で人形が描いたのは、不思議な絵と、「 ジョルジュ・メリエス 」 のサイン。 それは紛れもなくジョルジュの名前だった。 この絵がきっかけとなり、ヒューゴをとりまく人々の人生が動き出す。
ブライアン・セルズニックの小説 「 ユゴーの不思議な発明 The Invention of Hugo Cabret 」 を映画化。
原作を読んでいないので、タイトルと予告編から勝手に 「 冒険ファンタジー 」 的なものを予想して見に行ったのですが… 予想していたものと、ちょっと違っていました。 (期待ハズレだったというわけではありませんので、念のため。)
物語の前半はヒューゴが主軸、後半はジョルジュが主軸。
1902年の 「 月世界旅行 」 で知られる映画監督ジョルジュ・メリエス(マリー=ジョルジュ=ジャン・メリエス)という実在の人物が作中に登場するということもあるせいか、全体を通してみると 「 マーティン・スコセッシが映画黎明期の大先輩達に敬意を表して作った、ノスタルジックな作品 」 という印象。
そういう点が、私の予想していたものとはちょっと違っていた…というわけなのですが、この時代の映画がどうやって作られていたのかがジョルジュの回想シーンとして描かれていたりして、それはそれで興味深かったです。
孤独から抜け出したいと強く願うヒューゴが、自らの人生を 「 修理 」 すべく外の世界へ心を開いていく過程は、魔法などが無くても、立派な冒険ファンタジーだと言えるかもしれません。
ベン・キングズレーとクリストファー・リー(駅の図書館(かな?)の主人ムッシュ・ラビス役)… この二人の重鎮が作品に深みを与えています。
エイサ・バターフィールドとクロエ・グレース・モレッツ、二人の子役の演技も秀逸。
…で、上手いなぁと思ったのが、公安官を演じたサシャ・バロン・コーエン。
最初は、駅で見つけた孤児を威圧的に孤児院に送る 「 ヤな奴だなぁ 」 と思わせる人物。
しかし、物語の後半で、ヒューゴを捕まえた時に 「 孤児院でいろいろな事を教わるのだ。 私のように。 」 という内容のセリフがあり、かつて彼も孤児だったことをうかがわせています。 しかも戦争で負傷し片脚が不自由であるというハンデを抱えており、彼もまた外へ心を開けずにいたのだ…という演技が印象的でした。
パリの街並み、人々で賑わう駅… とにかく映像が美しいです! それだけでも一見の価値有り。
なお、本作のプロデューサーの一人として、ジョニー・デップが名を連ねております。 (残念ながら出演はしていませんが)
【追記】
月世界旅行 Le voyage dans la lune ジョルジュ・メリエス George Melies (1902)
※本作品は著作権切れによりパブリック・ドメインとなっております。
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