2015年9月6日日曜日

うらめしや~、冥途のみやげ展

東京藝術大学大学美術館で開催中の 「 うらめしや~、冥途のみやげ展 」 を見に行ってきました!



明治の噺家、三遊亭圓朝の幽霊画コレクションを中心に、日本の美術における 「 うらみ 」 の表現を探る…という展覧会。

怪談話の名人であった圓朝ですが、怪談を自作自演するようになったのは20歳の頃からだそうで、日本の怪談の定番ともいえる 「 怪談牡丹燈籠 」 「 真景累ヶ淵 」 なんかは彼の作なんですよね。
子供の頃は、夏になる度に、こういった作品を原作とした映画をテレビで放送したり映画館で上映されたりして、よく見たっけなぁ… なんてことを思い出しながら見に行きましたよ。


江戸から明治にかけては錦絵による幽霊画が多数あったようで、本展では歌舞伎の演目にもなっている 「 東海道四谷怪談 」 などの芝居絵や、物語のワンシーンを描いたものなどを見ることができます。
この時代は、おどろおどろしい感じで描かれてるものが多いなぁ…という感じ。


これが、後に多くの絵師によって幽霊画が描かれるようになると、表現も多彩になり、さらには幽霊画に美しさを追求するようにもなってきます。

日本の幽霊の定番スタイルである 「 長い黒髪、白装束、足が無い 」 は、かの円山応挙が始まりだという説があります。
まあこれも諸説あって、実際にはそれ以前にも 「 足の無い幽霊 」 が描かれたものはあるらしいのですが、このスタイルが広まるきっかけになったのが応挙ということなのかもしれませんね。
本展では、まさにその定番スタイルである伝円山応挙の 「 幽霊図 」 が展示されています。
また、葛飾北斎、伊藤晴雨、河鍋暁斎、曾我蕭白などの手による幽霊画を見ることができて、非常に興味深いです。


本展は7月22日から開催されていたのですが、私は敢えて9月になるまで見に行くのを待ちました。
というのは… 9月1日から最終日の9月13日までの間だけ、本展のポスター ( 上の看板の写真 ) にもなっている上村松園の 「 焔 ( ほのお ) 」 を見ることができるからなんですよ~!
東京国立博物館所蔵のこの作品、かなり前に 「 上村松園展 」 で見たことはあるのですが、そうしょっちゅうお目にかかれるものではないので… 松園ファンとしてはこの機会を逃してはならんでしょう!
「 源氏物語 」 で、光源氏の愛人である六条御息所が、正妻である葵上に嫉妬するあまり生霊となった姿を描いたもの。
まさに怨念のこもった様子でありながら、同時に品格もあって、ゾクゾクする美しさ。
久しぶりにこの作品にお目にかかって、やっぱりこの表情は女性でなければ絶対に描けないだろうな…と改めて思いましたね。


いつもとはちょっと切り口が違う展覧会で、面白かったです。



さて、上の看板の写真でもお分かりかと思いますが…
ちょうど藝祭が行われていたので、ちょっとだけ覗いてみました。



なかなか盛況でした。

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