監督 リドリー・スコット
出演 クリスチャン・ベール ジョエル・エドガートン ジョン・タトゥーロ アーロン・ポール ベン・メンデルソーン
マリア・バルベルデ シガニー・ウィーヴァー ベン・キングズレー
紀元前1300年。 エジプト王家の養子として育ったモーゼ(クリスチャン・ベール)は、奴隷となり苦境に立たされている40万のヘブライ人を救わねばならないという信念から、かつては兄弟同然のような絆で結ばれていたエジプト王ラムセス(ジョエル・エドガートン)と袂を分かつ。
彼らのための新天地 「 約束の地 」 を探し求め過酷な旅を続けるモーゼは、エジプトを相手にした戦いを余儀なくされていく…。
旧約聖書の出エジプト記をもとに、モーゼに率いられたヘブライ人がエジプトを脱出する過程を描いた作品。
モーゼの物語といえば、1956年のセシル・B・デミル監督作品 「 十戒 」 ( チャールトン・ヘストンのモーゼ&ユル・ブリンナーのラムセス! ) があまりにも有名。 上映時間3時間40分と長編ではありますが、DVD 鑑賞を含め何度も見ている大好きな作品。
ゆえに、最初は 「 十戒 」 のリメイク作品のつもりで見に行ったのですが…
これはリメイクではなく新解釈だった! ただしそれは 「 良くも悪くも 」 なんだけど。
映像に関しては文句なしの迫力だし、スピーディーな展開も良いと思う。
歴史スペクタクルとしては、まずまず良い出来かと。
ただ… 「 十戒 」 を見ている者としては、どうしてもいろいろ比較しちゃうんですよねぇ。
「 十戒 」 では、モーゼの誕生から、十戒が刻まれた石板を授かった後さらに荒野を彷徨うところまで描かれていたのに対し、本作はモーゼとラムセスの対立部分を中心とした人間ドラマを主題にしています。
…なので、モーゼもラムセスもいきなり青年で登場。 モーゼが王家の養子になるに至った経緯は映像で具体的に描かれてはいないので ( 劇中で語られはするが ) 、このテーマの映画を初めて見る方は、そのあたりがちょっと分かりづらいかも。
また、ラスト近くでシナイ山に登っていくモーゼが、黄金の子牛を作り偶像崇拝を始めてしまったヘブライ人達を見下ろす場面がありますが、そこも内容を知っていないと分かりにくい部分かもしれない。
( 下で人々が何で騒いでいたのかがよく分からなかった人もいるのでは…? )
結果的に、旧約聖書の内容を知っているか 「 十戒 」 を見たことがある人でないと理解しづらい場面があったのは残念。
( 以下ちょっとネタバレ有ります。 )
「 十戒 」 とは違う切り口や解釈でチャレンジした意欲は買いますが、「 等身大のモーゼ 」 や 「 より現実的な描写 」 というのに拘りすぎた感も。
「 十戒 」 でお馴染みの紅海が割れるシーンも、「 巨大隕石の影響?による引き潮 」 「 巨大竜巻による満ち潮 」 という風にする必要があったかどうか…
旧約聖書の世界という非日常な舞台で、神の御業を見せられる場面なわけだから、そこはより非日常な描写でも構わないと思うんですよね。
あと、モーゼが自分で石板に十の戒めを刻むというのは…
一応、神と対話しながら刻んでいるということにはなってるけど、そもそも本作では十の戒めがどんな内容なのかには触れていないし… ここは賛否が分かれそう。
まあ確かに旧約聖書には 「 十戒がどのようにして刻まれたか 」 は具体的に書かれていないので、そういう解釈も有りっちゃあ有りなんだけど、私はやはり 「 神が刻んだ 」 の方がシックリくるなぁ。
題材が題材なだけに、重厚さもある程度は必要かなと思いますね。
チャールトン・ヘストンとユル・ブリンナーが醸し出していた古典的な雰囲気が好きだった者にとっては、やっぱりもうひとつ何か足らないなぁ…と。
( クリスチャン・ベールとジョエル・エドガートンは頑張っていたし…決して彼らのせいではないのだが )
特に… エドガートンには本当にすまないと思うけど、ユル・ブリンナーのラムセスには及ばなかった。 それだけあのラムセスは強烈だったんだよね。
まあ、そもそも、あれ以上のラムセスを演じられる俳優が存在するのかどうか…って感じなんですけど。
歴史スペクタクルとしては及第点…というところですね。
セシル・B・デミル監督の 「 十戒 」 をご覧になったことがない方は、この機会にぜひ!
…気力が必要かもしれんが(笑)
ちなみに、セシル・B・デミル監督は1923年に 「 十誡 」 を発表していて、こちらは旧約聖書を題材にした第1部と現代を舞台にした第2部とで構成されています。
この第1部を、セシル・B・デミル監督自身が晩年にリメイクしたのが 「 十戒 」 なのです。
両方ご覧になって、いろいろ比較してみるのも面白いと思います。
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